パーカッションのルネサンス 43

打楽器奏者の目から見た今日の音楽と音楽教育 —— 連載第43回
•「Swingを感じるためのやさしい練習法」

有賀 誠門(打楽器奏者)

マリンバや机、あるいはピアノ等、左 右にある一定の長さをもつ物体の前に足を少し開いて立つか、椅子にかけます。

どちらからでもけっこうですが、とりあえず左から始めましょう。両手を左側へー、右側へ→ と連続して移動させて下さい。左から右へ手渡しする行為でもあります。両手はどのような動きをつくり出すでしょうか?

両手は――両腕ですが――「伸・縮」 と動くはずです。左60秒→右の感覚で試みて下さい(図1)。

一定の速度である「のり」が出てきた でしょうか? ハイッ! ハイッ!…. と「ドジョウすくい」の運動と同じです。

「のり」が出てきたら、A → B、AB 間のスウィング感とビートを維持しつつ、AB間を2等分して下さい。次に3 等分してみましょう。そして4等分して 下さい。最後は5等分です(図2)。

5等分ができるようになったら、次は 半分の長さで同じことを試みて下さい。

さらに長さを短くし、親指と小指の間 で試みましょう。Swing が感じられたら バッチリです(図3)。

2等分の feeling を中指で swing させ て下さい(図4)。

3等分の場合は2指、3指、4指をそれぞれ組み合わせて下さい。 * 4等分は diminish で試みましょう(譜 1)。

親指と小指との間の feeling を親指と 薬指で試みます。親指と中指で試みます。 親指と人差指で試みます。1本の指(同 一の場所)で試みます。

さて、今度は左手の指で試みましょう。 C → D間で swing! (譜2)。中指(第 3指)を入れて2等分にします(譜3)。

このように見てみると、左手は実に重 要な役割を果たしていることがわかります。初心者にswing 感を感じてもらうのがいかに重要か、知っていただきたいと 思います。初心者が使用するバイエルの 教則本、ソナチネ等に十分配慮が必要で す。

Swing 感をもって楽譜を読み、棒の振 れる人がとても少ないのが残念です。と くに大勢の上に立つ人の場合には、影響 が大きいだけに十分に注意が必要です。 Jazz drummer がいかに重要であるかお わかりでしょう。

Drumming はすべての人をswinging させます。すべての人が drumming を試 みてほしいと願います。ただし swing の わかる人に習うことが何より重要です!! マリンバを奏する人は大勢いますが、

ほとんどが手首だけの運動で音板に当てているだけで、音楽をしていない(音楽 が読めていない)のが大変気になってい ます。

「三つの野営地」(Three Camps) という有名なリズムを打ち出してみましょ う。「なめ上げ運動」で、「ドコダンド コダードコダ……と唱えて下さい。左 右の手順を図5に書いてみました。

アクセントをつけるために one point 前にあげていることが大切です。譜例4 で Let’s play!!

自分の体を鳴らしてみて下さい。よい デモンストレーションにもなります。

 

(1997.5)