パーカッションのルネサンス 7

打楽器奏者の目から見た今日の音楽と音楽教育 —— 連載第7回
— 「up感覚」のはなし:Swingの「のり」をおぼえる方法

Swing感をもっと体につけましょう。まず、片足を思い切り高く振り上げる。振り上げる前にどのような用意をしているか注意して下さい。両腕の動きが相対的に動くのがわかります。足という重い肉体の一部を空中に放り出すわけですから、かなりのエネルギーが必要なわけです。馴れるまで気の爆発が必要でしょう。足を上げるには腹筋が非常に重要な働きをしています。知るために仰向けに寝て下さい。貴方の重力すべてを大地に預け、リラックスして。野口体操でいうところの体を皮袋の中の水という状態にイメージして、静かにその水をゆすってみましょう。

 自分の体がだんだん蛇のように、魚のように、さざ波のように、煙が空中に立ち昇るように等、ゆらいできましたね。リラックス、リラックス。目は閉じていた方がイメージはふくらみます。首も楽にして。しばらく動きを続ける。Poco a poco dim. しばしのやすらぎ。心臓の鼓動が聞こえてくる。

 両足を静かにゆっくり直角近くまで上げてみる。上げる時、頭部の動きに注意してみましょう。床に引掛かるのがわかります。この動きが歩く時にも行なわれることを体におぼえておく。次に、片足ずつ空中を歩いているように、交互に上げ下ろしを続けてみる①。踵が床にドスンと落ちないように。・・・少し休みましょう。

 さて、両足を立てて腰の上げ下ろし②。腰だけの運動を思わずに歩いているつもりで動きののりを楽しむことです。音楽を口ずさみながら。寝ながら音楽に参加できます。両腕の上げ下ろしを入れると交互に動くのがわかります。

 楽しんだところで、頭を最後に上げるように、起き上がってみて下さい。頭から起き上がると首に無理な緊張を与えることになります。

 立った気持ちはいかがですか。何かしたくありませんか。③の動きをしてみて下さい。体を前後に振り動かすのです。頭部も同じように動きますか。

 体が③のように前に進む時、開く、あるいは伸びる感じをもつことができると思います。胸も開きます。自然と両腕も同様な回転運動をします。手の平が前の方に向いてくるでしょう。頭もup、downとなります。とにかくゆすって下さい。ゆすっているうちに足を動かしたくなります。体の重さをどちらかに段々と移動させて、片足を自由にしてやるのです。体は前後に振り動かしながら。足が地面から離れてきます。動きをよりはっきりさせて下さい。足の上げ下ろし運動を続けて下さい。ももを段々上に上げて動作を大きくしていきます。したがって腕の動きも大きくし、上に上げていきます。頭上にかざしたり、様々な位置でやってみて下さい。回転運動を体に実感させて下さい。前後に体を振り動かすことは回転運動なのです。両腕が8の字を書くようになってくると弾みがついてきます。

 腕が開閉運動をしてくるのも体感できましたか。とにかく続けてみて下さい。いい「のり」ができていれば、もう貴方はいま流行の踊りができます。ロック音楽に合わせて体を動かすことができます。いや、音楽に合わせるのでなく、貴方のその「のり」運動が貴方の音楽なのです。両腕を上に上げ、顔は天を仰ぎ、両腕の伸縮をさせてみましょう。注意することは、片足を上げた時、支えているもう一方の足を曲げないことです。曲げるとちょっと違う「のり」になってしまうからです。呼のリズム感が、積極的です。この動きは、アフリカの踊りにつながり「感謝!天に、地に」を象徴しています。両手をももの位置に下ろして、ももが当たるようにして下さい。足が床につく。ももと手の平が当たる。音が聞こえます。ウンタウンタ・・・と。歩く音楽にあと打ちが多いのはこの運動があるからです。

 Enjoy Marching!

 とにかく体が自然の理にあった動き、スムースな「のり」で動いてしまうようにしましょう。Enioy Movement!!

 顔がゆるんできましたか、いや、外づらの筋肉がゆるんでくるだけではわざとらしいのです。心が楽しんでこないと、体はまだまだストレスに邪魔され、表情が豊かになってきません。首が楽になっていないと頭部が気持ちよくswingしてくれません。頭で考えてしまうと頭がなかなか動いてくれません。頭部がswingしてくるには体全体がswingしてくることです。

 この動きのフィーリングを文字で書きあらわすことは不可能に近いのです。実演を見てみることが必要だと思います。歩くには体を移動させていくわけですから移動のフィーリングを実際に感じてもらうことが必要で、個々の人の動きを見てみないと注意することができません。人によって違いますから。

(1993.5)