パーカッションのルネサンス
打楽器奏者の目から見た今日の音楽と音楽教育 —— 連載第35回
• ヴィヴァルディの「夏」を音楽しよう
有賀誠門(打楽器奏者)
と8つの音があります。「オクターヴ」といっています。譜例1のように強調する場合、8つを2で割ると4つずつになり(譜例2の1小節め)、シンコペーションになってしまうのです。それを譜例3のように頭を「す」にすることによってオクターヴ上のドに強調を与えることができます。すると
となり、勢いあるリズム感をつくることができます。クラシック音楽に頭が「す」になっている作品が多いのに気がつかれていることと思います。「す」を多くの人が、「ウ↓」と息をとめる等の現象をつくり出し、演奏していますが違うのです。
アッしまった!アッこれだ!ウン、いい子だ!等、感嘆詞の感覚で「す」を感じ、息使いするのがよいのです。ロヴロ・フォン・マタチッチ先生は
など、「スタータ スタタタ」と、休止符を「SU」と発音されていました。「ウッタータ ウッタタタ」に較べ、実に効果的なリズム感だと思います。邦楽の太鼓で、‘‘ホッ”ポン、‘‘ホッ’’ポンと、ポンの前にかけ声を入れていますが、同じ感覚ではないでしょうか。
それでは「四季」の「夏」に入りましょう。
とさっそく応用編が出てきました。先ほどのことを感覚しながら試みて下さい。「すー」と気持ちよく演奏できましたか?
3拍子の感覚は『おどるこねこ』で説明しました。ゆっくりな3拍子の場合、count1がdownに入ってしまい、3のupが少ないため、段々と重くなっていきます。注意を要します。Up感覚を忘れないようにして下さい。count1のpointをどの位置に置く(感覚)かがいちばん大切です(図a)。それによって、すべての音の位置感覚が決まるのです。そのための息使いが大切になってきます。
譜例4の1小節目のaと2小節目b♭の保持の感覚がupであること。3拍目は常に次への保持を感覚して下さい。音楽が下がらないように意識して下さい。休止符のあるところで「気」を抜かないことです。
譜例5の2拍目のg、3拍目の、4拍目のgの感覚、絶対に上から↓gと感じないで、g↑とupで感じて下さい。そうするとバイオリンのリズム感(譜例6)もupに保持でき、2拍の裏のb♭と3拍のgの間のアゴギーグで遊びができるようになります(譜例7)。
上行、下行でのアゴギーグが考えられます。
譜例8の1、2拍に注意、3拍目up、で音の跳躍からすばらしい活きたリズム感をつくり出して下さい。
第2楽章では譜例9のリズム感が重要です。
Up感覚でやることです。2分音符、付点4分音符をのばすときもNever down!Upあるのみです!!(譜例10、図b)
第3楽章も
とUp感覚ですることです。同じ位置でgを出している感覚ではありません。1、2、3のcount感がこの楽章を支配します(譜例11)。冒頭で述べたことが出てきました(譜例12)。譜例13のリズム感は譜例14と読んで下さい。サラバンド舞曲です。
(1996.9)