パーカッションのルネサンス
打楽器奏者の目から見た今日の音楽と音楽教育 —— 連載第24回
• 「なめあげ運動」で「花」を歌おう
有賀誠門(打楽器奏者)
Swingすること、させることが何より大切であり、基本です。両手を交互に動かし、指先がパタ、パタと当たるようにしてみて下さい。A点、B点の中間で指と指が当たることがわかったと思います(図1)。
では、およそ240=♪くらいの速度で交互に動かしましょう。自らこの速度でやってみようという意が大切です(図2)。コンスタントに(規則正しく)続くように気をつけて下さい。心の中から何かしたい、無意識に動いてしまう、そんな感じです。義務的にやっては何の意味もありません。次に胸の上で試みて下さい。体を動かしたくなってきましたか? そんな気持ちになってきたらしめたものです。腰が前後に動けば申し分なし!
左手からはじめた場合
2 1 4 1 2 3 4 3
4 3 2 3 4 1 2 1
のように4つのpositionをイメージして下さい(図3)。
Swingしながら各ポイントをはっきり(Accent) させて下さい。ラテン音楽であろうと、クラシック音楽であろうと、リズム・パターンを知らずとものれるはずです。
や
をつづけることで気持ちが良くなってきます。
ももの上、ひざからももへ、腹、ももの横、お尻等々、自分の体のあらゆるところへ手をもっていくのです。
次に小太鼓を使ってみます。椅子に掛け、ももの上に小太鼓をのせます。腰を前後に動かしながら上記のことを試みて下さい(図4)。
Zigzag, Zigzag, ・・・
鼓面は手の平で打ちます。自分のももをたたいているように、あくまでもSwingが大切です。
Keep tempo!ができればいうことなし!
太鼓の振動が体に伝わってきたでしょう。何かしら鼻歌が出てきませんか。この行為を楽しむことです。貴方は自然のリズムに体をゆだねているのです。自分の音楽をしたくなってきたでしょう。シンコペーションを意識できればかなり貴方の体は解放されてきた証拠です。体がそのリズムで動き出します。ゆすっているとブランコに乗っているfeelingになってきます。口ずさんでみる。知っている旋律を口ずさむ、音を限定して口ずさむ、童謡を口ずさむ、単純なことを馬鹿にしてはいけません。あとでとんでもなく後海することになります。口ずさみながら、手でティンパニを打ってみる。音程は決めなくても、そのfeelingが何より大切です。
身近にあるもので音を出してみましょう。気に入った響きのものをさがし出してみて下さい。ガラクタでもすばらしい響きをもっているものがあります。
多くの人たちがうなずき運動でcountなり歌うため最初の音の長さを意識することがありません。さらに「吸」がなくいきなりはじめる人が多い。最初の音はもちろん、次の拍を予測した息遣いではじめることです(譜例1)。
「うなずき運動」では2、4拍が非常に希薄です。Beatのpointがはっきりしません。
「なめあげ運動」ですと2、4拍がはっきりし、次への息遣いがわかり、フレーズがしつかりと把握できます。4拍目が実に大切なのがわかるでしょう。腰のZigzagは、命です(譜例2)。
さて、日本の名曲、瀧廉太郎作曲『花』をこの調子で歌いあげて下さい。うきうきしてくるはずです。
(1994.10)